片山弁護士のチラシの裏
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高齢者の財産管理

高齢者の財産管理

高齢者の財産管理

我が国は超高齢化社会を迎え,とりわけ山口県では高齢化率が全国的に見ても高い水準です。高齢者をめぐる法律問題の特色は,短期間に複数の問題が絡み合って発生してくるところにあります。「この年になるまで弁護士の世話になるようなことは一度もなかったのに。」などと言われるお客様もいらっしゃいます。
高齢者を巡る問題は,①平穏な老後をどう送るか,②遺族に財産をどう残すか(相続)に大別することができます。②相続については別に記事を用意しておりますので,よろしければご参照ください。

平穏な老後を送るための障害となるのは,2つです。1つは身体的な不都合で,介護の問題です。もう1つは,判断力が衰えた場合に,財産を適正に管理できなくなることで,誰かが本人になりかわって財産を管理する必要があります(財産管理)。悪質な業者が高齢者の家に入り込み,高額な金融商品や不必要な羽毛布団を大量に買わせるといった事件のニュースを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。このようなときに,誰かが財産を管理していれば,被害を防ぐことができたかもしれません。
人間は生物である以上,たとえ若い頃にどんなに元気な人であったとしても,年齢による衰えは避けられません。そのようなリスクがあることを認識し,元気なうちから適切なサービスを利用することで,安心できる生活を送っていただきたいと思います。
当事務所では,高齢者の財産管理にあたって,以下のメニューを用意しています。

1 顧問契約(ホームロイヤー契約)

1 顧問契約(ホームロイヤー契約)

高齢者をめぐる法律問題は,多くの問題が同時多発的に絡み合い,複雑になることが多くあります。依頼者のご要望も一人一人違うので,個別具体的にオーダーメイドされた法的手段を用いる必要があります。中には,依頼者の真のご要望と口頭で主張される法的手段とが異なる場合もあり,弁護士の側で依頼者の真のご要望にあった解決策を提示しなければならない場合もあります。
このようなオーダーメイドの解決策は,長期間にわたってお客様の財産関係,親族関係,友人関係,及び人生観その他一切の事情を理解する必要があります。高齢者の法律問題は,その人の一生が凝縮されて発生してくる面がありますので,スポット的にご相談いただいて,数回の打ち合わせで理解するようなことはとうていできません。定期的に連絡を取り合い,お話を聞くことが必要です。
そのために,まず最初に顧問契約(ホームロイヤー契約)をおすすめします。料金は,お客様の資産の多寡,出張の有無,及び相談の頻度等により,1か月5000円(税別)から50000円(税別)を目安に,協議して決めます。一般的な内容であれば,月額5000円(税別)から10000円(税別)程度です。
 原則として1か月に1回程度,電話又は直接お会いして,状況を確認することが基本となります。その際に,法的紛争に巻き込まれていないか,次の法的手段にすすむ段階にきていないかなどを注意し,必要に応じて福祉サービスと連絡を取るなどをします(見守り)。
この顧問契約を基本契約として,必要に応じて他の法的手段をオプションにつけていくことになります。

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2 財産管理契約

2 財産管理契約

民法上の委任(準委任)契約です。契約により,財産管理権を第三者に委ねるものです。
契約ですので,どの範囲の財産を(全部か,一部か)どのように管理してほしいのか契約者の意思を反映させるための融通がききます。他方,契約ですので判断力が低下してからでは使えませんし,公的制度でないため受任者の地位が不安定で,いざというときに必要な法的手段をとることができないリスクがあります。このようなリスクを回避するため,他に任意後見契約や成年後見と組み合わせ,適宜これらに移行していく必要があります。
今までの日本社会では,多くの場合高齢者の子どもが介護の一環として親の財産を管理することが多かったといえます。親族が管理する利点は,報酬がかかりませんし,身内ならではの気安さがあります。しかしながら,身内だからこそ言えないことがありますし,最近では「自分は義理の父母の介護で大変苦労したので,子どもに苦労をかけたくない。」という声も多く聞かれるようになりました。
身体的介護は介護サービスを利用するように,財産管理の場面でも専門家のサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
費用は,財産の多寡及び予想される業務量その他の事情により月額5000円(税別)から10万円(税別)を目処に,協議により決めます。

3 任意後見契約

3 任意後見契約

公証人役場で公正証書を作成することで任意後見人を選任します。本人の判断力が低下した段階で,申立により裁判所が任意後見監督人を選任し,任意後見が開始されます。任意後見人は,任意後見監督人の監督の下で,後見事務を遂行します。
公正証書を作成する必要がある点で財産管理契約よりも煩雑ですが,専門家である公証人が作成するので不合理な契約の内容にはなりませんし,任意後見監督人の監督があるため不正が行われにくくなっています。また,公正証書を作成する段階で決めておけば,任意後見人の業務遂行にあたってかなり自由にご本人の意思を実現させることができます。
財産管理契約と成年後見契約の良いところ取りをしたような制度ですので,もっと活用を図るべきでしょう。
任意後見契約は,判断力が低下してから発動する制度ですので,判断能力が十分なうちから財産管理を委ねたいという場合には,財産管理契約と併用する必要があります。また,契約である以上,すでに判断力が低下してしまった場合には任意後見契約をすることができません。

4 成年後見制度(保佐,補助)

4 成年後見制度(保佐,補助)

すでに判断能力が低下してしまった場合には,家庭裁判所に対し,成年後見人の選任を申し立てることになります。個々人の判断能力の低下には程度に差がありますので,低下の程度により,保佐や補助といった制度になります。
成年後見人は,裁判所が選任した上,その監督までするため,成年後見人の法的立場が安定し,業務遂行に対する監督が行き届きやすいという利点があります。また,すでに判断能力が低下してしまった場合には,成年後見をはじめとする法定後見制度を使うほかありません。
しかしながら,裁判所という公的機関が業務遂行を監督する以上,後見人には財産を管理するにあたり裁量の余地があまりなく,必要最低限の収入と支出の管理(例えば,年金を受領して病院への支払いをするなど。)のみを行い,元本割れするリスクのある運用などはできません。被後見人が望む支出であっても,後見人と裁判所が協議した結果,支出が認められないことも多々あります。ご家族が「(被後見人が)元気な時はこうしてくれといっていたので,お金を出してほしい。」というご要望を出されることもよくありますが,成年後見人と裁判所の判断でご要望にお応えできず,険悪な雰囲気になることもしばしばです。
成年後見が必要となるのは,判断力が低下した高齢者ご自身というよりも,家族や親族等,周囲の人々の方かも知れません。成年後見が必要になるほど判断力が低下すると,例えばご兄弟で相続があった場合に遺産分割ができず宙に浮いてしまう場合があります。その際に,成年後見人を選任したうえで,遺産分割協議をすることになります。

5 遺言

5 遺言

死後に財産を誰にどのように残すかは,重大な関心事でしょう。遺言がないまま相続が発生すれば,原則として法定相続分に従った機械的な分割がなされますので,現実にそぐわない不公平な結果を招くことがあります。残された遺族が年々もかけて争うため,「争続」などといわれることもあります。弁護士から見ると,「遺言があればここまで揉めなかったのに。」という事案は多くあります。
遺言をする際の注意点は,相続の項目をご覧下さい。
実際に遺言をされる場合には,専門家の意見を求めてからにすることを強くおすすめします。

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6 死後事務委任契約

 任意後見人及び成年後見人(保佐人・補助人を含む。)の職務は,本人(委任者)の死亡により終了します。あとは,管理する財産を相続人に引き継ぐ業務が残るだけです。例えば,死亡時に入院していた病院や施設の支払などは,厳密に言えば成年後見人が支払うことはできません。死亡と同時に相続人に債務が相続され,相続人が支払うのが法の建前です。それでは病院や施設に迷惑をかけてしまうので,成年後見人が各相続人の意思に反しない範囲で成年後見業務に付随する業務として支払うことはありますが,法の建前からすれば危ない橋を渡っていると言わざるを得ません。相続人が激しく争っている場合には,病院や施設の支払が宙に浮いたままいたずらに時間だけが過ぎる場合もありえます。病院や施設側とすれば,いつ支払われるか分からない人を危なくて入所を躊躇せざるをえない場合もあるかもしれません。

 他方,相続人にどのように財産を引き継ぐかは,遺言によって決めておくことができます。ただし,遺言によって法的効果を有する事項は,法律によって定められています(法定遺言事項)。これは,自分で作成した遺言(自筆証書遺言)であろうと,公証人が作成した遺言(公正証書遺言)であろうと変わりません。もちろん,遺言には付言という形で法定遺言事項以外のことも記載できますが,法的な効力は持ちませんので単なる故人の願望にすぎず,それが実行されるかどうかは残された人々次第です。

 そこで,任意後見及び成年後見と遺言の間隙を埋めるものとして,死後事務委任契約が必要になります。
 このように,①財産管理契約,②任意後見契約,③遺言,④死後事務委任契約を合わせてまとめておくことより,元気なうちから死亡後まで隙間なく自己の意思を実現していくことができるようになります。
 この4つのものを併せて同時に公正証書を作成することが望ましいでしょう。財産管理契約,任意後見契約及び遺言をまとめて三点セットと呼び,これに死後事務委任契約を加えたものを四点セットと呼ぶことがあります。

7 事業承継

7 事業承継

会社経営者の方が,どのように円滑に会社経営から身を引き,次の経営者に引き継ぐかという問題です。世に事業承継の情報はあふれていますが,比較的大きめの会社を想定したものが多く,中小・零細企業を対象とする場合には,そのまま使えない枠組みもあります。
事業承継には多数の問題がありますが,突き詰めて言えば,①株式の承継,②会社財産の承継,③取引先の引継ぎ,④税金に大別できます。
事業承継は,④税金の問題が先行して,いかに税金を低くするかに意識が向きがちです。税金の場合には税理士が専門であることはいうまでもありません。
しかしながら,税金を安くすることばかりに気をとられ,①株式を適切に承継させなかったために,相続で争いになるような事態は本末転倒です。取引先の信頼も失い,倒産ということになりかねません。①株式の承継及び②会社財産の承継は遺言や生前贈与を利用し,さらに会社法上の制度(種類株式の発行等)も組み合わせて「争続」や会社支配権を巡る紛争が起きないように,御社向けにカスタマイズした方策をとることが必要です。これは弁護士が得意とする分野です。
経営者の方は,会社には顧問弁護士がいるので,顧問弁護士に相談すればよいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし,顧問弁護士は会社に対して忠実義務を負っているので,会社と経営者の利益が相反する場合,会社の利益を優先させなければなりません。経営者が自己の利益を守るためには,顧問弁護士とは別の弁護士に依頼する必要があります。
当事務所では,中小企業経営力強化支援法に基づく経営革新等支援機関の認定を受けており,事業承継の問題にも対応しています。また,協力関係にある税理士と協働して税金にも配慮して業務遂行することが可能ですので,ぜひご相談ください。