片山弁護士のチラシの裏
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離婚

1 新しいステージに進むためのお手伝い

新しいステージに進むためのお手伝い

結婚と離婚は,人生でそう何度も経験することのない重大な転換点です。離婚するかどうかは,一時の感情に流されることなく,結婚するかどうかと同じくらい慎重に考えるべきでしょう。弁護士が仕事ほしさに離婚を煽るようなことは厳に慎まなければなりません。

しかしながら,厚生労働省の統計によれば,平成20年の1年間に25万1136件の離婚があり,ごくありふれた事柄になっています。決して離婚歴を後ろめたく考えて望まない婚姻関係を無理に継続させる必要はありません。

離婚を決意した当事者にとっては,離婚をせざるを得ない事情を抱えていたに違いありません。そうしたやむにやまれぬ事情という古い衣を脱ぎ捨て,人生の新しいステージに進むためには,離婚が有効な手段となる場合があります。

弁護士は,そのような新しいステージに進むことのお手伝いをすることができます。

2 離婚のための手続

(1) 離婚協議

協議離婚でまとまれば一番良いのは確かです。しかし,裁判所又は専門家が介在しない協議では,どちらか一方に有利又は不利な合意がなされてしまう危険があります。合意をする前に,専門家に助言を求めた方がいいでしょう。

当事者間の協議で合意が成立した場合,後々のために離婚協議書を作成しておくべきでしょう。財産給付を受け取る側である場合には,公正証書を作成しておきたいところです。

当事者,あるいは双方の親族などをまじえて離婚協議がなされたものの,合意を得ることができず決裂したため,弁護士に相談に来られることがほとんどです。弁護士がご依頼を受けた後は,協議離婚が成立する見込みがあれば改めて代理人として協議をもちかけます。

(2) 離婚調停

協議離婚が成立する見込みがなければ,離婚調停を起こします。

調停は当事者が主人公ですが,弁護士は代理人として調停の場に同席し,後に裁判になった場合の結論をにらみながら,依頼人の要望を実現するために,議論に加わります。裁判になった場合には法律上の権利の有無が厳密に判断されますが,調停ではある程度アバウトです。裁判所が関与する以上,あまりに裁判となった場合の結論=相場とかけ離れたことはしませんが,権利があろうとなかろうと双方が合意すれば調停は成立します。

調停は裁判所の場所を借りた話し合いですので,もちろん弁護士をつけなくても可能です。しかしながら,調停委員の先生方を通じて次々と条件が提示され,即座にそれに対する回答をしていく必要があります。そのたびに持ち帰って専門家の意見を聞くというのは困難です。

調停の拘束時間は,1期日あたり2時間から長いときには4時間にもなることがあります。弁護士の中には長時間の拘束を嫌い,調停は依頼者本人だけで行かせ,裁判になった段階からだけ受任する方針の者もいるやに聞き及びます。当事務所では,離婚訴訟ではなく,より柔軟に物事を決められる離婚調停こそが離婚の主戦場であると考え,積極的に調停段階から同席する方針ですので,ご活用下さい。

(3) 離婚訴訟

離婚調停が不成立に終わった場合,家庭裁判所に対し,離婚訴訟を提起することになります。訴訟では厳格な主張・立証が必要となり,専門家でなければ十分に対応することは困難でしょう。訴訟を提起し,あるいは提起された場合には,速やかに弁護士に依頼されることをおすすめします。

3 離婚に至るまでのハードル

離婚に至るまでのハードル

離婚協議が決裂するポイント,つまり離婚をするにあたりクリアすべき課題は,①そもそも離婚するか否か(離婚の合意),②経済的給付の金額(財産分与,慰謝料),③子どものこと(親権者,養育費)に集約されます。以下,それぞれをみていきます。

4 離婚事由

離婚事由

夫婦の一方が離婚を要求し,もう一方が離婚に応じない場合,離婚事由(民法770条)があるか否かが最大の分かれ目です。民法770条は,次のように定めます。

裁判上の離婚

第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一  配偶者に不貞な行為があったとき。
二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(1) 性格の不一致(5号)

最も多く主張されるのは5号で,多数の裁判例が形成されています。

実際によく主張されるのは,「性格の不一致」でしょう。「性格の不一致」は,夫婦は別人格である以上完全な一致はありえませんので,程度問題です。「通常の判断能力を有する一般人からみてそこまで不一致ならば離婚してもやむを得ない。」と思われるほどの不一致が必要です。

とはいえ,性格は目で見ることはできませんので,性格の不一致の現れである夫婦間のすれ違いとなった事実を一つ一つ丁寧に記録して証拠化していかなければなりません。これは,なかなか精神的に負担が大きく,骨が折れる作業になりますが,当事者本人でなければ分からない事情です。できる限り事細かに日記のような感じでも時系列に沿って書面に記載しておくことが重要です。

私の経験上,性格の不一致のみで裁判において離婚が認められたことはありません。守秘義務のため具体的には言えませんが,常識的に考えて「そこまでくい違ってしまっては夫婦生活は無理でしょう。」というレベルに至っても,まだ裁判上必要となる性格の不一致とは認められません。

裁判例上は,性格の不一致から派生して性交渉の拒否とか,激しい喧嘩からの暴力とか,長年にわたる無視などの事実をとらえて離婚原因とみる傾向があるようです。

ただし,そこまで性格の不一致が明らかになってしまっている場合には,離婚を申し出た側ばかりでなく,離婚を求められた側も婚姻関係の継続に対する意欲を失っている場合がほとんどです。裁判になった場合には,反訴という形で双方が離婚を求めることも多くあります。この場合には,離婚しないという選択肢はなく,親権や慰謝料といった条件面での争いに焦点を当てることになります。

(2) 不貞行為(1号)

比較的見やすい離婚事由と言えますが,証拠が何よりも重要な類型です。

単に「不倫している気がする。」と言うだけでは足りません。「二人でいるのを見た。」というのでも不十分です。「二人きりで食事をしているのを見た。」でもまだ不十分です。不貞行為とは肉体関係のことであり,直接的に肉体関係を推認させるような事実が必要です。「夜間不倫相手のマンションの部屋に入り,翌朝その部屋から出てきた。」事実とか,キスしている瞬間の写真などが必要です。

特に,第三者から見て不貞行為が明らかである写真や録音などの客観的証拠が重要です。探偵を利用して調査される方もいらっしゃいますが,多額の費用(100万円近く。)をかけたとしても,必ずしも思うような証拠が得られるとは限らないギャンブル的な要素があります。最近では,携帯電話の通話履歴や,メールの内容から足がつくことが多いようです。疑わしいメールを見つけた場合には,写真に撮っておきましょう。心当たりのある方はメールに注意しましょう。

知人が目撃したので証人として呼びたいと言われる方もいらっしゃいますが,我々弁護士の常識から言えば,証人はあまりあてになりません。法廷で証人尋問すると証言が崩れることも少なくありません。客観的な証拠を確保するよう努めて下さい。

明確な証拠をつかまれてしまった場合には,潔く離婚を認めて慰謝料も支払うよう決断することも必要です。いたずらに紛争を長引かせることは,夫婦双方のためになりませんし,仮に未成年の子がいる場合には,子に与える悪影響も考えなければなりません。

(3) その他の離婚事由(5号)

他に,離婚事由として私が過去に関与したことのある類型の一部を挙げます。

1 暴行・虐待

暴力を振るってしまった場合,離婚にはとても不利になります。

私は,いかなる理由があろうとも,暴力を振るってしまった場合,離婚と相当額の慰謝料を支払うこと,親権をとれないことは覚悟してもらうよう相談者にお伝えしています。

2 重大な病気・障害

最近では,夫の認知症を契機として,長年堪え忍んできた妻の怒りが爆発し,「もう夫の介護はしてられない!」ということで離婚したいという相談も見受けられます。この場合,夫が認知症になっているため,夫に成年後見人を選任する申立を併せて行う必要があります。

実際,成年後見人を選任する場合の理由としては,離婚か遺産分割に際して認知症当事者の印鑑をもらうことができないのでどうしたらいいか,という相談を契機とすることが多いです。

裁判例上,配偶者が重大な病気・障害を負った場合に離婚するには,施設への入所の算段をつけるなど,配偶者が野垂れ死にしないような一定の措置をとってからでなければ離婚が認められません。

3 訴訟の提起

夫婦間で訴訟をするというのは,尋常ではありません。もはや婚姻関係は破綻していると認定されて当然でしょう。この延長として,裁判の中で反訴で離婚を求めると,離婚がほぼ認められることになります。

4 ギャンブル,多額の借財,浪費,勤労意欲の欠如,飲酒癖

これらもよく見かける離婚事由です。もちろん,収入とのバランスにより,遊びの程度であれば離婚原因にはなりません。
これらの飲酒やギャンブルから派生して,口げんかが絶えず,やがて無視するようになるなど,他の原因と併せて離婚事由となることが多い気がします。

離婚協議・離婚調停での立ち位置

(ア)離婚事由がある場合

最終的には裁判を提起して,判決で離婚を求めることが可能です。そのため,離婚したい側は,交渉及び調停の段階でも強気に出ることができます。離婚事由を作り出した側(有責配偶者)は潔く諦め,金銭面での争いに焦点を移しましょう。

このようなときに,「あくまでも離婚したくないから争ってほしい。」というご依頼は,弁護士費用が無駄になりますので,残念ながらお断りする場合があります。

(イ)離婚事由がない場合

離婚したい側は,相手方が「それだけもらえるのならば離婚に応じよう。」と考える程度の条件を提示して合意を得るほかありません。交渉及び調停の段階では下手に出ざるをえず,場合によっては全財産をなげうってでも離婚したい,というくらいの覚悟が必要になります。

離婚したくない側としては,慰謝料など他の条件で強気に押せばいいのですが,あまり強気に出すぎて交渉がまとまらず時間が経過するリスクがあります。2~3数年してから裁判を起こされると,別居期間が長くなったことをもって婚姻関係の破綻として捉えられ,判決で離婚が認められてしまう可能性が高くなります。どこかで妥協することも考えなければなりません。

5 財産給付

財産給付

離婚に伴い支払われる財産上の給付には,大きく分けて慰謝料財産分与があります。

(1) 財産分与の基本的考え方

財産分与の法的性質は,清算,慰謝料及び扶養の側面があると言われますが,基本的には婚姻から別居までに夫婦が形成した資産を2分の1ずつ折半しましょうという考えればよいでしょう。

夫婦が共同して形成した財産を対象としますので,一方の固有財産(親から贈与を受けたり相続したりした財産など。)は除きます。

見落としがちですが,退職金見込額(実際に退職する必要はありません。)や生命保険の解約返戻金(実際に解約する必要はありません。)は分与の対象となります。

何を夫婦の共同財産とみるのか,その共同財産の価値をどう見積もるかなど,細々とした問題があります。せっかく離婚には合意しても,財産分与でつまずいて調停や訴訟になることも多く感じられます。

(2) 慰謝料の基本的考え方

慰謝料の発生根拠として,離婚の原因となった個別の原因から発生するもの(不貞行為,暴力など)と離婚そのものから発生するものとがありますが,厳密に区別されてはいません。通常は,離婚そのものから発生するものに離婚原因から発生するものを含めて考えています。

慰謝料は,私の経験上では,100万円から300万円の事件が大部分を占めています。明確な不貞行為の証拠があるケースで300万円程度です。もちろん,支払能力の点も考慮せざるを得ません。

逆に,明確な離婚事由がなく,性格の不一致による離婚をする場合には,「お互い様」ということで慰謝料が認められることはほとんどありません。

6 子どもに関する事項

(1) 親権者の決定

親権者の決定

離婚で最も激しく争われることが多いのは,親権者の指定です。現在の日本の民法では,離婚後は必ずどちらか一方を親権者としなければならず,共同親権は認められていません。財産と違って子どもを分割して分けることはできない以上,争いになれば激しくなるのは必定です。

子どものことを考える場合には,どちらが子どもを育てたいかではなく,どちらが子どもを育てることが子の福祉にかなうかという視点が重要です。

文献等では最近は変わってきたとは言われていますが,親権者の決定の際には,まだまだ母性が優先されています。とりわけ子どもが小さい場合,子どもが女の子である場合にはそうです。

父親としては,「母親よりも自分の方が経済力があり,祖父母の援助も得られるので子育てをすることができる。」と主張することが多いですが,それでは全く不十分です。

母親よりも父親の方が良いという相対的な主張立証だけでは足りず,母親に子どもを育てさせることは子の福祉を害するという絶対的立証が必要です。母親がネグレクトなど虐待をしたり,薬物依存であったり,犯罪を犯して刑務所で受刑中であったりする明確な証拠があるのであればともかく,この立証をすることは困難を極めるでしょう。

(2) 養育費

(ア)子の監護をする親に対し,もう一方の親は養育費を支払わなければなりません。

運用上,全国的に統一された養育費算定表が利用されています。父親と母親の年収に応じて,ほぼ自動的に養育費の金額が決まってきます。

この算定表に従わないことを主張する場合には,従うことができない特別な事情を主張することになります。私の経験上,この特別の事情を裁判所に認めてもらうことは,簡単ではありません。

(イ)養育費が支払われない場合

統計上,8割近くの親が養育費の支払いをやめてしまうそうです。

支払いを受けられなくなった側としては,公正証書,調停調書,和解調書又は判決等で養育費が決められている場合には,給料債権の差押等の強制執行をすることができます。また,強制執行まではしなくても,履行勧告という裁判所の手続を利用することもできます。

 下関のような地方都市の場合,相手方が中小零細企業に勤務していたり,自営業をしていたりする場合があります。中小零細企業の場合は,給料の差押があると世間体から退職することがあります。自営業の場合には,そもそも給料がありませんので,売り掛け先を自力で特定し,売掛金を差し押さえる必要があります。

 このような養育費が未払いになるリスクを考慮した場合,ある程度金額が低くなったとしても,離婚に際して一時金を受け取り,将来の養育費を請求しないという選択肢も考慮に入れるべきでしょう。

(ウ)養育費の取り決めをせずに離婚した場合

離婚時に養育費の取り決めをしていなかった場合であっても,養育費の支払いを求めて調停を起こすことができます。離婚しても親子であることに変わりはないからです。ただし,調停前の過去の養育費については当然に請求できるとは限りません。請求する場合には,なるべく早めに請求しましょう。

(エ)養育費の増額・減額

養育費の支払は,基本的には子供が20歳になるまで続き長期に及ぶため,途中で父及び母の経済的状況が変わって離婚時に決めた金額が実情に合わなくなることがあります(事情の変更)。

一度決めてしまった養育費は,調停又は審判により金額の増減を求めることができます。養育費の金額が現実にそぐわなくなった場合には,専門家に相談してみて下さい。

 親権を取得した親が再婚した場合,非監護親は養育費を支払う義務を免れるかという問題があります。養育費は子に対する義務であって,親が再婚しようとしまいと関係のないことですので,養育費支払義務を免れません。ただし,再婚相手と養子縁組をした場合には,新たに親子関係が発生しますので,養育費の減額又は免除が認められる可能性があります。

(3) 面接交渉

子を監護していない親は,離婚後であっても子どもに会うこと求めることができます。子の健全な発展には,たとえ両親が離婚したとしても,両親と会うことが重要だからです。子を監護する側も,別れた配偶者が憎いからと言って子どもに会わせないという意趣返しをしてはいけません。ただし,離婚の原因が暴力の場合は別です。


 面接交渉権の法的性質については学説上争いがありますが,あくまで子の福祉にかなう範囲で認められるべきことに争いはないでしょう。そのため,会う日時,方法,場所などの条件は,親の都合ではなく,子どもの都合が最優先となります。

 両親の協議により決められればよいですが,決められない場合,調停を起こすことができます。家庭裁判所を介することで,家庭裁判所の調査官という児童心理の専門家の助力を得ることもできます。面接交渉には子どもに悪影響を与えないためのルールがあって,家庭裁判所を通すことで教えを受けることができます。

 条件が話し合いによって決まらない場合には,試行的面接といって,裁判所など中立の場所で子どもに悪影響を与えない方法で面接を何度か試すこともあります。数回のテストによって合格しなければ,面接交渉が認められなくなるおそれがあります。